ワールドカップ サムライ日本には、チーム成長の隠し味がてんこ盛り

〜アクションラーニング的アプローチによる 日本代表 考〜

ワールドカップ 南アフリカ大会も終了。この週末は、いわゆる「振り返り」番組も多かったですね。大方の予想を覆して決勝トーナメントへ進出した日本代表でしたが、この日本チームの進化というか、成長プロセスは、オンゴーイング展開されたことにより、日本全体をまきこんで、なにやらホンワカムードを漂わせていました。
私のまわりでもオランダ戦に負けた際も、なぜか「次につながる負けだ!」という声(主に、我が家の夫と息子、職場の男性陣という狭い世界の声ではありますが)が多く、チームの活力が上昇していることをみんなが認識していました。まさに共有!共有感が漂っている不思議な状況でした。

さて、なぜこんなことがおこったのか、「振り返り」番組をネタにちょっと考えてみます。
実は、この日本代表チーム、アクションラーニングでいうところのチームの成長の隠し味が、随所にちりばめられているのです。

まず、第一に「本音のコミュニケーション」が生まれていたということです。
大会が始まる前は、強化試合でも負けがつづき、チームとしては崩壊状況であったといいます。そこで、選手だけの特別なミーティングがあり、危機感の本当の意味での共有と、その中での激しい本音での話あいが、チームの本当の信頼関係を創ったのだと思います。この関係性が築かれたとき、チームの成長の基盤ができたといえるでしょう。

また次のポイントは「支援型リーダーシップ」です。「分散化するリーダーシップ(マルチリーダー)」といえるかもしれません。その時々にリーダーが生まれ、適切にチームワークが実行されていた、という点もチーム活力の上で大きなポイントです。簡単にいうと、大枠の方針にそってはいるものの、実行段階での現場対応は個々に任せられていること、そして、誰か一人の強力な司令塔(リーダー)の指示にしたがうのではなく、個々が判断をし、行動をするということです。
あたりまえといえば当たり前ですが、監督は、フィールドでプレイできません。方向性は授けるものの、試合を組み立てていくのは個々の選手たちです。個人の成長、そして、その選手たちひとりひとりが試合全体の流れをみて、リーダーとして機能することが、チームの成長していくプロセスでもあるのです。これは、変化の激しいビジネス社会において同様に通じることです


先が見えない、能力的にぎりぎりのところで戦っているとき必要なリーダーは、正しいことを「指示」することではなく、その場で適切に動くことができる「方向性」を提示しながら、みんなの意識を終結しながら、サポート(支援)をしてくれることです。岡田監督は、「指示」はあまりしていないと思います。

三つめのポイントは、「行動と振り返りプロセス」。強化試合の負け、をチームが振り返り、次に生かしていくこと、しかも、ポジティブに。そして、それを踏まえながら、みんなで行動ししてくこと。チーム活動における、行動は成長の鍵です。行動することで、成果はうまれます。また、行動するプロセスを共有することで、チームは成長していきます。行動するためには、納得しなければ行動できない。また、チームのなかの関係性がよくなければならない、リーダーがその環境をつくりださなければならない。ということで、今回のサムライ日本チームは、この循環がうまく回っていたと思います。

誰かが、監督とメンバーの不和が表出して、まさかの敗退をしたフランスチームの監督を評して、「従業員にそっぽをむかれた、中小企業の社長のようだ」と評していました。

確かに。

我が日本代表チームの面々は、帰国会見で「このチームでもうすこし試合をしたい」といいっていました。彼らのチームはまさに「社長賞をもらったプロジェクトチーム」のようです。プロジェクト終了後、彼らはその経験をもとに各現場で、組織の新しい時代のリーダーとなっていくでしょう。体験は人をそだて、チームを育てます。(ただ、そこには体験を糧にできる成長の隠し味が必要ですが)

いいチームは、いい体験を生み出します。そして、いい体験は、私たちを成長させるのです。それは、行動から学び、成長していくアクションラーニングそのものだと思います。